NKS

部分放電測定における雑音除去用
ND−2形雑音弁別器仕様

NKS (株)日本計測器製造所
1.ND−2の概要

 電気機器の絶縁特性試験のなかで、部分放電試験は、絶縁性能の長期信頼性を評価するために、非常に有効であることが知られています。
 部分放電測定を行う場合、目的とする部分放電以外の雑音のために、必要な測定感度が得られないことが多くあります。このような場合、雑音抑制の手段の一つとして、平衡形検出回路や雑音弁別器が用いられます。しかし、平衡形検出回路は、構成要素の非対称性や平衡調整の不完全性で、大きな雑音に対しては、充分な抑制効果が得られないことがあります。また、雑音弁別器は、連続的に入る雑音を除去すると、部分放電も検出されなくなる不具合があります。このような場合には、平衡形検出回路と雑音弁別器の併用が行われます。
 今回、CD−6(弊社製新形部分放電測定器)の開発に伴い、雑音弁別器として実績のあるND−1(弊社製雑音弁別器)をCD−6に合わせるべく、設計を一新し、新たにND−2として新機種を開発致しました。
 ND−2を使用した基本的な検出回路は、下記に示すように、DI−24(弊社製平衡形部分放電検出回路用検出インピーダンス)を用いた平衡形検出回路となります。
 ND−2の雑音除去方式は、雑音が入っている時間だけ出力を停止させる方式となっているため、大きな雑音もほぼ完全に零となります。

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ND−2を使用した基本的部分放電検出回路

2.ND−2の主な特長

(1)安全性
 検出インピーダンスは外付(別売)で、ND−2は高電圧回路から絶縁されるため、高電圧回路の充電電流をND−2内に引き込まないので安全です。

(2)入力の標準化
 入力インピーダンスは50Ωとなっており、接続ケーブルの特性インピーダンスと整合がとられているため、検出インピーダンスとND−2間の接続ケーブルの長さの影響はほとんど受けません。

(3)動作レベルの広範囲化
 入力減衰器は1/1〜1/1000まであり、動作レベルが広範囲に設定できます。また、可変減衰器も備えております。

(4)同調増幅器による雑音の除去
 増幅器は、CD−6と同等の同調増幅器が採用されているため、帯域外の雑音の影響は受けません。

(5)ゲート機能の拡大
 ゲート機能は、常時ON、ノイズ入力時OFF、部分放電入力時ON、アンテナ入力時OFF、の4レンジがあります。アンテナ入力時OFFのレンジは、平衡形検出回路が組めない接地供試物を、アンテナ入力形雑音弁別法で雑音を除去する場合に使用します。

(6)測定不能時間の大幅縮小
 DI−24とND−2の併用により、ND−2は、間けつ的な大きな雑音に対してのみ動作すれば良いことになり、雑音による測定不能時間が、ND−1に比べ大幅に縮小されます。

(7)測定不能時間割合表示
 測定不能時間割合をパーセントで表示するディジタルメータが装備されています。

(8)2チャンネルの測定器として使用可能
 入力端子から出力端子まで、CD−6とほぼ同等のものが独立して2チャンネルありますから、オシロスコープでの観測のみならば、2チャンネルの部分放電測定器としての使用も可能です。

(9)コンピュータによる自動化対応
 CD−6のRS−232C端子を介して、切り換えレンジの設定、読み取りができます。

(10)電源の国際対応化
 電源は、AC100/120/220/240Vの切り換えスイッチが装備され、日本以外の国での使用にも対応します。

(11)形状の標準化
 JIS標準ラックに収納しやすいように、形状の標準化を図り、外形はCD−6と同一となっております。

3.ND−2の効果
 ALL ON PD ON


4.オプション(別売品)

 CD−6にND−2を組み合わせて部分放電を測定する際は、必ず、外付の検出インピーダンスが必要となります。CD−6、ND−2には、検出インピーダンスは付属していませんので別途御購入下さい。CD−6にND−2を組み合わせる場合、基本的な平衡形検出回路を構成するためには、DI−24形検出インピーダンスを使用します。

(1)検出インピーダンス             DI−24(平衡形検出回路用)

(2)検出インピーダンスとND-2間の延長ケーブル(アダプタ付)(要長さ指定)
両端BNC(P3)、3D-2V 10m、20m、50m(2本1組)
(注:ND-2には5mの接続ケーブルが2本1組標準付属されている)

(3)部分放電測定器                          CD−6

(4)その他の周辺機器   試験用電源、ブロッキングインピーダンス、結合コンデンサ、電荷校正器、その他については弊社にお問い合わせ下さい。

[注意]
(1)連続した外部雑音は除去不可能

 ND−2で連続した外部雑音を除去すると、供試物内部の部分放電も取り込めなくなります。連続した外部雑音は平衡形検出回路またはシールド等で対策して下さい。

(2)検出インピーダンスは外付
 ND−2は検出インピーダンスが外付となっているため、測定にはND−2のほかに外付検出インピーダンス(DI−24等)が必要となります。

(3)CD−5との接続
 弊社製CD−5形部分放電測定器への接続は、直接できません。

5.ND−2の仕様

(1)パルス入力端子(PULSE IN)チャンネルA,B共通
入力インピーダンス(300〜500kHzに於て)           50Ω±10%
許容最大入力電圧、電流           AC2.5V、50mA(R.M.S.)
検出インピーダンス                    外付(内蔵なし)
接続ケーブル                両端BNC(P3) 3D−2V

(2)切換減衰器(INPUT ATT)チャンネルA,B共通
レンジ            1/1〜1/1000(1・2・5ステップ10レンジ)
減衰率誤差(1/1基準)                  各レンジ値の±5%

(3)可変減衰器(VARIABLE ATT)チャンネルA,B共通
最大減衰率                   1/2.6〜1/3.5の間

(4)周波数特性及び利得(パルス入力端子からパルス出力端子まで)チャンネルA,B共通
同調中心周波数                      400±5kHz
−3db帯域幅                       60±3kHz
−20db帯域幅                   150±7.5kHz
利得(同調中心周波数に於て)              約94db(参考値)注1

(5)パルス出力端子(PULSE OUT)(無負荷のとき)チャンネルA,B共通
直線比例範囲                       1Vp〜10Vp
直線性誤差(10V基準、1Vp〜10Vpに於て)           出力値の±5%
最大出力電圧                    約14Vp(参考値)注1
内部ノイズ                        100mVp以下
出力インピーダンス                   2.2kΩ±10%
感度1(ATT=1/1、VARIABLE ATT最大に於て)  PULSE OUT 1Vp±10%/PULSE IN 3pC
感度2(検出インピーダンスDI-21使用した直接検出回路で、供試物、結合コンデンサ共1000pF、ATT=1/1、VARIABLE ATT最大に於て)
約1pC/PULSE OUT 1Vp(参考値)注1
パルス幅(パルス半値幅)                 約13μS(参考値)注1
パルス遅延時間(PULSE INからPULSE OUTまで、出力パルスピークに於て)
約18μS(参考値)注1

(6)ゲート機能切換器(FUNCTION)
レンジ                 ALL ON、N OFF、PD ON、ANT OFF(4レンジ)
機能  ALL ON  入力A,Bに無関係に常時ONの信号を発生する。
N OFF   入力A,B両側に、しきい値を越える同相パルスが入るとOFF信号を発生する。
PD ON   入力A,B両側に、しきい値を越える逆相パルスが入るとONの信号を発生する。
ANT OFF  入力A,Bの片側または両側に、しきい値を越えるパルスが入ると、OFF信号を発生する。
ゲート動作開始しきい値(INPUT ATTは任意、FUNCTIONはANT OFFにおいて)
PULSE OUT A,B共に0.1Vp±30%

(7)ゲートモニタ端子(MONITOR)
機能       ゲート信号に対応した信号を発生する。ONのゲート信号のときHレベル、OFFのゲート信号のときLレベルとなる。
出力電圧値(無負荷のとき)        Hレベルが+5±0.5V、Lレベルが0±0.5V
出力パルス幅                  最小値30μS(参考値)注1
出力インピーダンス                    470Ω±20%

(8)測定不能時間割合指示計(DEAD TIME RATE%)
機能    しきい値を越える外部雑音で測定が不能になる時間の割合を指示する。
指示範囲                           0〜100%

(9)周辺機器接続端子(CONTROL I/O)
ゲート機能   ND-2のゲート信号はこの端子を通してCD-6へ与えられる。
パソコン制御  この端子をCD-6と接続することにより、CD-6のRS-232C端子からND-2のATT A、ATT B、FUNCTIONのレンジ切り換え、読み取りが可能。

(10)リモートランプ(REMOTE)
CD-6を介して、RS-232Cでリモートにすると点灯する。点灯中はパネル表面のキー操作は無効。

(11)電源
電源範囲   100(90〜110)/120(108〜132)/220(198〜242)/240(216〜264)V AC
SELECTORスイッチにより何れかの電圧を選択可能。
ヒューズ                  100/120V 0.5A、 220/240V 0.2A
周波数                          50/60Hz
消費電力(50Hz、100V、ATT=1/1000、無信号のとき)       16VA±20%
絶縁抵抗(電源端子一括対ケース間)        100MΩ以上/DC500V
耐電圧(電源端子一括対ケース間)            AC1500V/1分間

(12)寸法・重量
寸法(突出部を含まず)           W=209.5±2、H=128±2、L=340±3mm
重量                            約4.4kg

(13)環境条件
動作温度湿度範囲                 0〜40℃、85%以下
周囲条件                            屋内使用

(14)付属品
接続ケーブル 両端 BNC(P3)、3D-2V、5m                2
DINケーブル 両端DIN (8a)、8芯シールド、0.5m           1
電源コード 3m                           1
接地リード 2m                           2
出力端子用BNCバインドポスト                    1
取扱説明書                              1
試験成績書                              1

注1:参考値は規格値ではありません。

6.ND−2の外観図
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