1.HFCT-2-10の概要
電気機器の絶縁特性試験のなかで、部分放電試験は、絶縁性能の長期信頼性を評価するために、非常に有効であることが知られています。 部分放電測定では、放電パルスを検出するために、放電パルスの還流回路へ検出インピーダンスを入れる必要があります。これまでの部分放電測定では、検出インピーダンスが2端子形となっていたために、放電パルスの還流回路へ検出インピーダンスを入れるには、電源をしゃ断して、結合コンデンサを接続するか、接地線を切断する必要がありました。 本器は部分放電の測定に際し、接地線を切断しないで放電パルスを検出できるように開発された、クランプ形の高周波変流器です。 本器を使用することにより、電源をしゃ断せずに、活線状態のままで、部分放電の測定が可能になります。 本器は基本的に高周波の変流器ですから、出力側を50Ωの抵抗で終端すれば、オシロスコープ用のカレントプローブとしての使用も可能です。
2.HFCT-2-10の主な特長
(1)活線測定が可能
接地線を切断しないで、活線状態のまま部分放電の測定が可能になります。現場での機器の保守、点検に最適です。
(2)安全性
高電圧回路の充電電流を測定器内に引き込まないので安全です。
(3)金属シールドケース
ケースは金属製で静電シールド効果があり、外部雑音の影響を受けにくくなっています。
(4)雑音除去法にも対応
本器を2個使用すれば、雑音平衡法、雑音弁別法(弊社製BL−1、ND−1)にも対応可能です。
(5)活線校正が可能
結合コンデンサの静電容量値が供試物の静電容量値より充分大きければ(Ck≫Cx)、電荷校正は活線のまま行えます。
(校正は校正パルスを本器の1次側に1ターンで注入します。)
3.HFCT-2-10の使用例
直接検出回路に本器を接続して、弊社製CD−5形およびCD−6形部分放電測定器で測定したときの検出感度(参考値)を示します。検出感度は減衰器 が1/1のとき、1Vpの出力パルスを得るための電荷です。
Cx=Ck(F) |
100p |
1000p |
0.01 |
0.1μ |
(CD-5)+(IMT-1-2K) +(HFCT-2-10) |
36pC |
32pC |
32pC |
30pC |
(CD-6)+(HFCT-2-10) |
68pC |
62pC |
61pC |
58pC |
4.HFCT-2-10の仕様
(1)1次導体貫通穴径 直径13mm(公称値)(注1)
(2)非飽和最大1次電流
(IMT-1-2K)+(CD-5)、(IMT-1-2K)+(ND-1)、(IMT-1-1K)+(BL-1)、
(CD-6)、(ND-2)と接続したとき AC2A(RMS)
(3)2次端子形式 BNCコネクタ
(4)2次巻数 10±0T
(5)2次巻線インダクタンス(約5mAp-p、共振法にて) 200μH以上
(6)2次適正負荷インピーダンス値 50±5Ω
(7)周波数特性(2次負荷50Ωのときの-3db帯域) 40kHz以下〜10MHz以上
(8)内部損失(1次電流400kHz 5mAp-p、2次負荷50Ωのとき) 5%以下
(9)シールド(金属ケース) 2次側BNCコネクタの外側に接続
(10)寸法(ケース寸法) L=80±1.2、W=41±1.2、H=40±1.2mm
(11)重量 約250g(参考値)(注1)
(12)環境条件 動作温度0〜40℃、動作湿度85%以下、屋内使用
(13)付属品 取扱説明書、試験成績書、各1
(注1):公称値、参考値は規格値ではありません。
5.オプション(インピーダンス変換器および、接続ケーブル)(別売)
(1)本器とCD-5接続用 両端BNC(P3)コネクタ、3D-2V10m
IMT-1-2K形インピーダンス変換器(CD-5用)
片端BNC(P3)コネクタ、片端4Pコネクタ、3C-2V1m
(2)本器とND-1接続用 両端BNC(P3)コネクタ、3D-2V10m(マーク付)
IMT-1-2K形インピーダンス変換器(CD-5用)
片端BNC(P3)コネクタ、片端4Pコネクタ、3C-2V1m(マーク付)
(3)本器とBL-1接続用 両端BNC(P3)コネクタ、3D-2V10m(マークなしとマーク付2本1組)
IMT-1-1K形インピーダンス変換器×2(BL-1用)
両端BNC(P3)コネクタ、3C-2V1m(マークなしとマーク付2本1組)
6.HFCT-2-10の外観図
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